ネットの中古車価格がバラバラでわかりづらい理由:1


前回は「どの車屋さんであっても中古車を特別に安く売ることはできません」というお話でしたが、グーネットやカーセンサーネットを見ると、同じような車なのに「こっちは100万円」「こっちは115万円」「こっちは130万円」というように、価格がすごくバラバラですよね。

このように中古車の価格がバラバラなのには2つ理由があります。

①『状態がいい・悪い』によって価格が違うから

②『悪質な違法行為』または『安く見せかける行為』をする車屋さんがいるから

この2つです。

今回の記事では、①の『状態がいい・悪いによる価格の違い』について、仕組みや注意点をまじえながら詳しくお伝えていこうと思います。

状態がいい・悪いってどういうこと? 値段はどれぐらい変わるの?

まず中古車は 文字通り『中古の車』なので 1台1台状態が違います。

1番わかりやすいところで言うと『ボディのキズ』とか『車内の傷み具合』って、1台1台その度合いが違いますよね。

当然ほとんどキズがないキレイな車とキズだらけの汚い車を同じ値段で買う人はいませんから、このような目に見える状態のいい・悪いは、中古車の価格にかなり大きく影響します。

どれぐらい影響するのか? と言いますと、 

私たち車屋の仕入れ価格でいうと、走行3万キロ・3年経過のトヨタ・プリウスの場合、目立つキズがほとんどない状態なら 仕入れ価格は平均163万円です。それに対して 目立つキズが2~3箇所ある状態では143万円、もっと状態が悪ければ135万円です。

つまり、同じトヨタ・プリウスの同じ条件の中古車であっても、キズが多いか少ないかだけで28万円も違ってしまうのです。 

こういった見た目のいい・悪いは、現車を見ればすぐにわかることですが、ネット上ではどうしても確認することができません。ネットの写真はどの車も新車のようにキレイに見えてしまうものです。なので面倒でも必ず現車を見て価格を比較する必要があります。

また実際には、『見た目は全然悪くないのに価格が安い』という中古車もたくさんあります。
つまり『見た目ではわからない状態の悪い車』があります。つづけてご覧ください。

”見た目ではわからない” 状態の悪い車

『見た目は全然悪くないけど価格が安い』という中古車には、次の6つのどれかが隠れている可能性が高いです。

事故車とまでは言えない程度に骨格部分になんらかのダメージを受けている

大型台風やゲリラ豪雨の影響で水没したことがある

海の潮や融雪剤に含まれる塩分の影響で下まわりがサビている

ペットを頻繁に乗せていた(大量の毛や糞尿の形跡があった)

前の持ち主がオイル交換をサボっていた

大きな故障の前兆がある

それぞれどれぐらい安いのか?そしてどんなデメリットがあるのか?ご説明させていただきます。

事故車とまでは言えない程度に骨格部分になんらかのダメージを受けている車 
100万円前後の車の場合で10万円~15万円程度安くなります。受けた衝撃が原因で通常あり得ないような故障をすることがよくありますが、見た目は完全に修理されているため一般の方が外から見てもまずわかりません。ギリギリ事故車扱いにならないので、ネットには100%普通の中古車として掲載されています。

大型台風やゲリラ豪雨の影響で水没したことがある車(冠水車)
100万円前後の車の場合で20万円~50万円程度安くなります。突然エンジンが掛からなくなったり、窓が勝手に開いたり、勝手にライトが点いたり、突然エアバックが飛び出してきたり、とにかく色々な不具合が起こりますが、当然わからないように清掃されているので一般の方が見抜くのはほぼ不可能です。ネットには『冠水車』と表示するルールが存在しないため、100%普通の中古車として掲載されています。

海の潮や融雪剤に含まれる塩分の影響で下まわりがサビている車(塩害車)
100万円前後の車の場合で10万円~35万円程度安くなります。あとあとブレーキが効かなくなったり、逆に効きっぱなしになったり、走行中にマフラーが落ちたりなど、色々な不具合が起こりますが、塗装で誤魔化されているのがほとんどなため一般の方が見抜くのは困難です。ネットには『塩害車』と表示するルールが存在しないので100%普通の中古車として掲載されています。

前の持ち主がよくペットを乗せていた車(大量の毛や糞尿の形跡があった)
100万円前後の車の場合で10万円~20万円程度安くなります。もちろんわからない程度に清掃や消臭をしたうえで販売されますが、毛を完全に取り切ることは不可能なので、あとあとになって座席の隙間やカーペットから無数に動物の毛がでてくることがあります。ただし衛生面に問題があるだけなので「全然平気だよ!」という方にとってはお買い得車と言えます。特に輸入車に多い傾向があります。

前の持ち主がオイル交換をサボっていた車
100万円前後の車の場合で10万円~15万円程度安くなります。エンジンの寿命が極端に短くなってしまった車です。特に軽自動車に多く見られますが、じつはこれを確認せずに仕入れて販売してしまう車屋さんがけっこういます。大概の車はオイルを注入するところのキャップを開けて内部をライトで照らして見れば簡単に見分けることができます。もしあとでエンジン本体の交換が必要になった場合、確実に数十万円の出費になります。

大きな故障の前兆がある車
100万円前後の車の場合で15万円~40万円程度安くなります。よくあるのが、エンジン本体から小さな異音が出始めている車・シフトレバーをDやRに入れた時の反応が遅い、または異様にショックがある車です。こういう車を仕入れる車屋さんは、気付かずに仕入れてしまっていることがほとんどで、あとから気付いても修理に数十万円かかるため 修理はせずにそのまま販売されます。

ネットではこの①~⑥の車が問題なしの普通の中古車として相場より安く売られています。

今回の記事のおさらいと中古車のチェックポイント

はい、ということで今回の記事は、中古車の価格は『状態がいい・悪い』によってかなり差があるものであり、その状態のいい・悪いには『見た目でわかるもの』と『見た目ではわからないもの』があって、さらにネットには問題ありの中古車が『問題なし普通の中古車』として相場より安い価格で掲載されています というお話しでした。

価格が安くなればなるほど注意が必要ですが、たとえ安い方の物件じゃなくても、中古車を買うときは必ず現車を見て、キズやヘコミ・車内の傷み具合を確認したうえで、以下の6つのことを確認するようにしてください。

①事故歴がなくても骨格部分になんらかのダメージを受けた車ではないか?

②大型台風やゲリラ豪雨の影響で水没した車ではないか?

③海の近くや雪が多く降る地域で使用されていた車ではないか?

④ペットを頻繁に乗せていた車ではないか?

⑤前の持ち主はきちんとオイル交換をしていたか?

⑥大きな故障の前兆がある車ではないか?

もしお店の人が信用できそうな人であれば、この①~⑥を質問してみてもいいと思います。

ただしその人が根拠を示して説明ができない場合、例えば「当店は良質な車しか扱わないので大丈夫です!」などと言ってやり過ごそうとする態度が見えた場合はあまり信用しない方がいいと思います。

~今回の記事はここまで~

次回は中古車の価格がバラバラになってしまうもうひとつの理由、『悪質な違法行為』『安く見せかける行為』をする車屋さんについてご説明いたします。なんかイヤ~な感じですね。

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